旧世紀サバイバルゲーム事情
現在のサバイバルゲーム事情がどうなっているか実はかなり疎いのですが、昭和から平成初期にかけて……河川敷などいわゆる野良でサバイバルゲームをやっていた時代、ブッシュも多く地形も判らない初見のフィールドではやはりスナイパーの存在が脅威でした。ふと気が付く「前に」弾が当たり、その方向の立ち木から「ここから撃ったぞ」とジェスチャースナイパーに何度悔しい思いをしたか……。
昭和末期、ガスフルオートもスナイパー銃も、かたやブッシュ貫通能力、かたや飛距離を追求するためいずれもパワーを高める傾向があり、いわばこの時期は蛮族の時代といえるでしょう。片方がガス圧を上げれば片方はスプリングをパワーアップ。きりがないパワー競争の時代がたしかにありました。
ちなみに当時の標準的なパワーアップをほどこしたSS9を鼻先数十センチ程度の距離で撃たれると、6mmBB弾の「点」ではなく、パンチを食らったような「面」の圧力がぶつかったような衝撃を感じます。傷じたいは少し皮膚が裂けて血が出た程度なのですがね(昭和の野蛮なゲームの思い出)。パワーアップしているしてないに関わらず、フェイスガードを装着しましょうね。
▲タカトクトイスのSSスーパー9。初代発売はなんと1976年! 全てのスナイパーライフルの元祖といえるでしょう。
▲スーパー9系は基本設計をそのままに、現在もクラウンモデルからU10ライフルとして発売されています。昭和から令和まで、実に半世紀にわたって信頼され愛される名銃といえるでしょう。
やがて90年代に入り東京マルイ製電動ガンが登場。それに数年遅れてのメーカー純正ホップアップの普及によって、むやみなパワー競争は意味を持たないものとなります。スナイパーライフルとサブマシンガンの間の性能差が解消され、平等な条件で戦える時代はまさにサバイバルゲームがスポーツとして成立した瞬間といるかもしれません。
▲電動ガン第1弾のFA-MASにHOPUPが搭載された「FA-MASスーパーバージョン」。トリガーガードからグリップガードに変更され剛性感がアップ。これ以降の電動ガンには可変HOPUPが標準で搭載されています。
実戦事情におけるアンチマテリアルライフルの台頭
銃架やトラックなどに固定して対地・対空機銃としてはもちろん、艦船や航空機にも搭載され、第二次世界大戦で文字通り陸海空で活躍したブローニングM2重機関銃。単体でも3人1組で運用されますが、重量のある弾丸は直進性にも優れ、時には現地改修でスコープなどをつけて長射程ライフルとして使用されていたようです。80年代に登場したアンチマテリアルライフルの元祖ともいえるバレットライフルも、もとは艦船装備のM2重機関銃にヒントを得て開発されました。
▲1921年の正式採用以降、現在でも全世界で採用されている傑作重機関銃。ベトナム戦争時に狙撃用途で使用された記録もある。(画像出典:Wikipedia)
湾岸戦争以降、アメリカの主な軍事行動の場所は、ジャングルに囲まれたベトナム戦争から一転、砂漠や荒野など障害物の少ない場所が主戦場となりました。当然相手のアサルトライフルの射程外から攻撃できる、長射程ライフルの評価が高まったようですね。射程が長くなれば当然考慮しなければならない要素が増えていきます。
「あらゆるものが影響する。湿度、高度、気温、風、砂煙、着弾に6秒から10秒、それを計算して標的を狙う。地球の自転によるコリオリの力も考慮する」
(映画『ザ・シューター/極大射程』(2007)より)
今回紹介するチェイタック(シャイタック)M200インターベイションの実銃は、そうした時代に生まれた、スナイピングに特化したライフルです。先述の『ザ・シューター』にも主人公の愛銃として登場し、主人公を陥れるトリックに利用されてしまうものの、それを逆手にとって逆転の鍵となります。
実際のM200は、命中精度を高めた独自の.408チェイタック弾を用い、弾道計算用コンピューターが付属。非常に高精度な狙撃が可能というのがセールスポイントでした。実際に2,400mの超長距離狙撃に成功しているようです。
フォアグリップやバイポッドマウントを兼ねたバレルカバーや伸縮式のストックなど、それまでの狩猟銃的な長距離ライフルとは一線を画す特徴的な外観で、ゲームなどでも人気の銃です。一方で専用弾を使うことでの運用のしにくさの問題も大きかったようです。
M2重機関銃と同じ12.7×99mmNATO弾を使用できるバレットライフルなどと比較すると、弾丸の調達しやすさもですが、弾道の特性を1から覚え直すことも射手たちの負担でした。
また、ピカティニー・レールが機関部上部分にしか設けられておらず、スコープ以外の各種機材への拡張性にも乏しかったようです。
エアソフトガンレポート
さて、そんな実銃の事情に合わせたのか、今回紹介する「SVOBODA CEYTAC M200 CO2ライブカート(8mm BB)」も、なかなか複雑な仕様になっています。
まずライブカート式という時点で唯一無二! ダミー弾頭を外すことでBB弾を装填できる仕様になっていることで、実銃同様のボルトアクションによる装填・発射・排莢を楽しむことができます。
大口径スナイパーライフルとしての醍醐味をあらゆる方法で再現しようという心意気を感じますね。
一方で実銃ではデメリットとなった拡張性の低さですが、エアソフトガンにおいては各種センサーやレーザーサイトなどはそうそう載せる機会もなく、ガスガンですのでバッテリーケースも不要です。全体の重量増もマイナスになると思われますので、本銃に限っては大型スコープ一基で十分かもしれません。
キャリングハンドルはバレル基部に下向きにあり、フォアグリップを兼ねます。
フォアグリップやバイポッドがマウントされているバレルカバーは、内部のバレルから独立したフローティングバレル。自重がかかることによるバレルの歪みを防ぐ構造になっています。
マズル部分も迫力満点ですね。エアガンではもちろん関係ないのですが、ハンドガンのように上方向に抜けるノズルよりも、左右のブレを防ぐことに特化しているようですね。十分な重量のある狙撃銃ではハンドガンのような上下のブレはほぼ影響がないのでしょう。
ボルトパーツ。内部にCO2タンクを格納してパワーソースとなります。スプリングも撃鉄もないただのチューブ構造なので、改造しようのない設計になっています。
専用ケースに収納された状態。精密機械はそれにふさわしく丁重に保管する必要があります。
そして8mmBB弾の迫力! 8mmBB弾の実用性などは皆さま諸々ご意見あるかと思いますが、現在若干入手しにくくなっている専用弾なども、独自弾が普及を阻んだ実銃と重なります。それでもなお8mmの迫力に目をつけたこだわりには、ある意味漢気すら感じます。(Tg)も何丁か8mmモノを持っていますので、いずれ8mmBB弾の魅力についてもお話したいですね。
今回ご紹介したCO2ガスガンの買い取りはトイガン買取専門店『くれいも屋』へお任せください。買い取りページにつきましてはこちらをご確認ください。
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