あなたにとっての「名銃」とは?
と問われた場合、これは結構難しい質問ですよね。エアガンファン、モデルガンファン、そして実銃ファン?にとって、名銃とはまさにファンないしユーザーの数だけ存在するでしょう。自分が初めて手にした銃かもしれないし、多くの銃を経てたどり着いた今の一丁かもしれないし、スクリーンの向こうで活躍し、文字通り心を撃ち抜かれたあの銃かもしれません。
今回その「名銃」候補として紹介したいのはコルトM1903=通称32オート。名工ジョン・ブローニング開発の32口径中型拳銃です。
コンパクトかつハンマー内蔵のため携行性に優れ、航空機の搭乗員から諜報員まで広く使用されていたようですね。
男性にとっては軽量コンパクトでサイドアームに最適、女性にとってはそのサイズと少な目の反動でメインアームとして使われました。
それはフィクションでも同様で、国内外の映画・テレビでも、プロの軍人から一般市民(もしくは一般市民を装った特殊工作員)まで、老若男女分け隔てなく使用する銃として頻繁に活躍したようです。
単純にこのくらいのサイズは、M1911(ガバメント)のような大型拳銃とは違って、「どこからともなく」取り出しても違和感がなく、使い勝手がよかったのかもしれませんね。
国内ではやはり「日活コルト」として有名ですね。日活には32オートベースの電着銃があり、様々な日活アクションもので使いまわされました。近年でもテレビドラマ『BOSS』の一期(2009)で、主演の天海祐希さん演じる大澤絵里子が使用しています。
MGC 32オート ヘビーウエイト
人気があるからモデルガン化されるのか、モデルガンがあるから映画・テレビで使用されて人気になるのか。卵が先かみたいなお話ですが、32オートのMGC製モデルガンも、この銃の人気を支えていた要素の一つでした。
今回写真で掲載させていただいたのは、くれいも屋のお客様よりお譲り頂いたヘビーウエイトバージョンです。
発売は昭和末期頃から平成頭でしたでしょうか。アンケートハガキの年号は昭和ですね。当時まだ新素材だったヘビーウエイト素材は、プラ製モデルガンやエアガンの重量をアップさせ、手にした時のワクワク感を演出してくれました。
一方で当時のユーザー間では、そのグレーの色合いに好き嫌いもあったようです。
自分も当時固定スライドガスガンのM92Fをヘビーウエイトで持っていましたが、グレーが嫌いなわけではないのですが、やはり「この重さで黒ければなあ」と思ったりもしましたね。
このヘビーウエイト化された32オートは、ギュッと重量感が押し込まれており好印象ですね。
普段はガバメントを短くしたり長くしたりしていじってばかりいるので、フロントヘビーかそうでないかなどが気になりがちです。前後・横幅ともにスリムなので、すべてが手の中に収まっている感覚はなかなか新鮮ですね。お譲りいただいたものは発売から30年以上経っているはずですが非常に状態がよく、お客様がとても大事にされていたことがわかります。
MGC 32オート(イラコバ箱)
せっかくですので(Tg)の私物より、初代? MGC32オートと並べてみます。
こちらはおもちゃ屋さんの地下倉庫に長くホコリをかぶっていたもので、御覧の通りパッケージや本体のコンディションはよくありません。
ですがイラコバこと小林弘隆氏によるパッケージアートの歴代32オートの使い手たちの姿はまさに圧巻! ボギーや裕ちゃんほか、多くのスターが手にした銃であることがわかります。
パッケージ最上部には「THE HERO IN MOVIE ACTION IS THIS GUN」の文字が。いかに映画の中で愛されていた銃であるか、ビジュアルとその賛辞で表現しています。
実は銃じたいにはずっと憧れていたのですが、モデルガン派というわけでもないためなかなかふんぎりがつかずおりました。
入手は今年(2023年)に入ってからで、正直この箱目当てで(実際に箱代程度のお値段にしていただいて)購入しています。というかお店でたまたま見つけたものは縁を感じてうっかり買ってしまう性格なのです……。
実はスライドやマガジンキャッチも動かない状態で、後で作業スペースができたらオイル漬けにして分解に挑戦しようと思っています。
イラコバさんはヘビーウエイト版でも、取扱説明書に32オートを使用した俳優たちを描いています。
なお、重量は初代が約427g、ヘビーウエイト版は約560g(いずれも本体+空マガジン)でした。
名銃は受け継がれる
初代からヘビーウエイトまでは20年弱? ほど空いているはずですが、さらにヘビーウエイトの20年後。MGC製金型を引き継いだCAW製の「コルト32オート MGCリバイバルモデル」は2010年頃リリースされています。
こちらはつい昨年(2022年)にも再販されていますね。
本当にその人気の高さ、息の長さがわかります。先述の通り頻繁にフィクション作品に登場する銃ですから、もしかしたら古参ファンだけでなく、近年本銃の活躍を知った新規層からの要望なんてのもあるのかもしれませんね。
誕生から実に120年を経てもなお魅力を放つ32オートは、名実ともに「名銃」といえるでしょう。
現代銃からすれば古臭さは若干あるデザインかもしれませんが、無駄なものが一切ないデザインは、機会あれば多くの人に触れてみてほしいところです。
すでにお持ちの方ならば可能な限りお手元で大事に保管していただきたいですが、もし次の世代のこの銃の魅力を伝えたいたいなと思った時には、くれいも屋にご相談くださいね。
実際手に入れて実感しましたが、今からでもブローバックガスガンで出してほしいくらいです。今まで出てないということは、コンパクトなだけでなくかなりスリムな銃ですので、設計的に色々難しいのかもしれません。でもそれで諦めるのは惜しい気もします。
補足:CAW版32オートをお譲りいただきました!
本文執筆直後にCAW製のMGCリバイバルモデルをお譲り頂きました、ありがとうございます!
重量はほぼ初代MGC版と同じ約430g。本体やグリップの素材の変化が考えられますが、正直私物の初代は正直部品の一つ二つなくなっている可能性もあるので……まずは分解してみますね。