「リボルバーのコクサイ」 その純正スピードローダーのこだわり (初期型S&W M66と共に)

1989年に発売されたコクサイのライブカートリッジ式リボルバーガスガンは、トイガン史に確かなくさびを残した名銃の一つだと考えます。モデルガンにおいては「リボルバーのコクサイ」とまで謳われた同社がリリースした本シリーズは、リアルな外観と仕上げ、フルサイズのカートリッジ、そして何よりモデルガンファン垂涎の貫通したバレルとシリンダーを実現していました。もちろん貫通バレル&シリンダーはさらに以前の、それこそエアコッキングガン時代から存在していましたが、リアルさの伴う銃はまさに本アイテムの発売を待つ必要がありました。


実際当時から今に至るまで、ずば抜けて完成度の高い外見はいまなお確かなファンが存在します。実射性能については構造上の不利もあり当時ですら実戦向きとはいえない評価でした。しかしそれと引き換えにしても十分なほど当時は「雰囲気」も重視されていたのです。とはいえ実際にフィールドに持ち込んだ人は少なかったでしょうし、いたとしてもお守りのような位置づけだったと思います。いやもちろんこれをメインウェポンに使っていた人もいたかもしれませんが。

 

さて、今回みっちり紹介したいのはこのちょうかっこいいM66初期カート版……ではなく、本シリーズに対応したコクサイ純正の38リボルバー用スピードローダーです。

 


写真右がコクサイのスピードローダー、左が実銃用です。見ての通りコクサイ版は長さが1.5倍ほどあり、携行性が高いとは言いがたいですし、何よりリアル感にも欠けています。


もちろん普及している38クラス用ローダーケースにも収まらないため、専用の金属製ベルトクリップも発売されました。ここまでしてあえてコクサイがリリースしたのはなぜでしょうか。

実は実銃用スピードローダーとコクサイ版スピードローダーは機構自体が異なっています。実銃用がシリンダーにカートリッジを入れ時計回りにわずかにひねることで6つのカートリッジがリリースされるのに対し、(続く)


 

 

コクサイ版はセンターを押し付けることで回転させることなくカートがリリースされます。

 

シリンダーそのものが重量のある実銃や金属製モデルガンならともかく、プラ製のシリンダーは実銃用のひねる動作で一緒に回転してしまうため、左手の指などでシリンダーをおさえる動作が必要でした。写真は撮影のため左手でローダーを操作していますが、これは右手で銃を構えたまま装填する時も同様になると思います。しかし左手で銃の前半部を保持し、右手でローダーを持てば、シリンダーをおさえること自体はさほど不便ではありません。ですがその場合銃を保持する手がスイッチします。コクサイはどうも後者の所作を許さなかったようです。そしてそれはプラ製モデルガンの時代からコクサイが持っていた不満なのかもしれません。実際ガスガンM19シリーズの発売からスピードローダー&クリップの発売まではあまりタイムラグはなかったと思います。ちなみに今回見つかりませんでしたが、コクサイ版スピードローダーには、装填時に干渉する部分を削ったM19シリーズ用のシリンダーリリースラッチパーツも付属していました。同社の入れ込み具合が伝わります。

さんざでかいでかいと非難してきましたが、コクサイ版スピードローダーの「押し込むだけ」の機構は秀逸で、実戦的見地からも蓋のないベルトクリップから取り出しカートを装填するまでの時間もコンマ何秒ぶんか稼げているはずです。

この事実に気づいた時、「リボルバーのコクサイ」のこだわりを突き付けられた気分でした。おそらくはこの後に発売されるスピードコンプへの使用も視野に入れたものだったのかもしれません。ただし、スピードコンプの頃に採用されたニューカートリッジと非貫通式シリンダーとの相性は、実際に使っていないのでわかりません。もちろんプッシュリリースの利点は間違いなくあったと思うのですが……。

願わくば現代の技術でよりコンパクトになったプッシュリリース式ローダーを見てみたかったですが、ほぼ同じ機構は東京マルイがリリースしているようですね(何げにこちらも未体験)。マルイ版はスプリングが隠れるなど外観がスマートに、サイズも若干コンパクトになっているようですが、基部の形状からなんにでも使えるというわけではなさそうですね。とはいえやはりこの機構はプラ製リボルバーには必須だったのは30年近くを経ても間違いなかったようです。


いくつかの不運も重なって営業を終了した国際産業ですが、実は今でもM66は手遊び程度にはいじっているくらい愛着はあります。また、年齢的にコクサイモデルガンの黄金時代的なものは体験してはいないのですが、同社のリボルバーといえばPPCマッチカスタム的なバレルを備えた「デビル」と「サターン」のビジュアルにはギリギリ間に合った世代です。80年前後の月刊漫画誌の広告ページに掲載されたあの2挺は、どんな小さい図版でも異様なオーラを放っていました。コロコロコミック連載の『アクション刑事 ザ・ゴリラ』にも登場していましたね。なんとか実射性能を上げて……いやあげなくとも、ガスガン版のM29サターン/デビルカスタムが欲しかったです。というかいまだにどうにか発売されないものか、各社がPPCカスタム風銃を出すたびに思い出します。(まあ実際のマッチカスタムはM29のNフレームではなく、38系のKフレームやLフレームが主流のようですが……)(それでもNフレームで欲しいんですけどね)

(Tg)

 


 

ある程度実射性能が上がったとしてもリロードの問題や横幅などまだまだ「ロマン枠」に近いリボルバーガスガンですが、むしろそのロマンこそ大事と考えます。「くれいも屋」ではロマンあふれるリボルバーガスガンはもちろん、実戦重視のブローバックガン、逆にロマンの塊のモデルガンなど、各種トイガンの買取をお待ちしています。