ざっくり学ぼう!M16ライフルの歴史&各モデルの違い

M16の歴史

最近社内でM16A3とA4の違いについて聞かれたので、いい機会なのでそれぞれのモデルの違いについてざっくりと記してみようかと思います。

なお、今回はM4カービンなどの派生モデルについてはふれず、下記のグラフで色の付いている、M16モデルについてのみご紹介していきます。

ナンバー 運用 軍での名称 種別
601 ・アメリカ空軍 AR-15 ライフル
602
603 ・アメリカ陸軍
・海兵隊
XM16E1

M16A1
603K ・韓国軍 M16A1
604 ・アメリカ空軍 M16
604改 ・アメリカ海軍 Mk.4 mod.0
609 ・アメリカ陸軍 XM177E1 サブマシンガン
610 XM177
・アメリカ空軍 GAU-5/P
629 ・アメリカ陸軍 XM177E2
GAU-5/A/B
630 GAU-5/A/A
649 GAU-5/A
645 ・アメリカ陸軍
・海兵隊
M16A2 ライフル
646 ・アメリカ海軍 M16A3
945 ・アメリカ陸軍
・海兵隊
M16A4
920 M4 カービン
921 M4A1
711 ・カナダ軍 C7 ライフル
725 C8 カービン

M16の歴史

AR-15(1959~)

画像出典:https://www.americanrifleman.org/
AR-15は、言わずと知れたM16の元祖。米国アーマライト社が開発し、アメリカ政府に納入された由緒正しき一挺です。

設計から65年が経過した現在でもセミオート限定の民間モデルとして、各社から無数のクローンが作られており、M16やM4の外観を再現したものから、ブルバレルやフリーフロートバレルを装備したプレシジョン系、果ては超短銃身のピストルスタイルまで、そのバリエーションは数え切れません。

カスタムパーツも山ほど出ており、レシーバーやトリガー、ボルトキャリアまで自分仕様に仕上げる楽しさも魅力です。

一方で、その高性能さと手に入りやすさゆえ、米国内では銃乱射事件にも度々登場するのが現実。

2024年7月に発生したドナルド・トランプ氏の銃撃事件でも現場からAR-15タイプの銃が押収され、改めてその社会的影響力が浮き彫りとなりました。

マニアにとっては“究極の民間ライフル”ですが、同時に現代アメリカの光と影を象徴する存在とも言えます。

モデルナンバーは601、その改良型が602になります。


某エアガンメーカーから出ていたモデル602コンバージョンキットの刻印。

「COLT AR-15」の刻印とともにモデル602を示す「MODEL.02」の刻印があります。

M16(1964~)

M16
引用元:https://smallarmsreview.com/the-complete-guide-to-colt-m-16-models-part-i/
M16(モデル604)は、いわばM16シリーズの初代制式採用モデルであり、アメリカ軍の制式ライフルとして新時代を切り開いた伝説の一挺です。

AR-15をベースにコルト社が製造し、1960年代初頭にアメリカ空軍向けに本格導入されました。特徴は固定ストックに三角形ハンドガード、フルオート射撃可能なセレクター、そして20インチのフルサイズバレルです。

ボルトフォワードアシストは未搭載で、後のM16A1以降とは異なるディテールが魅力的です。

作動方式はストーナー方式のガス圧作動で、軽量ながらも5.56×45mm NATO弾の威力を活かしたバランスの取れた設計です。

現在、オリジナルのモデル604は非常にレアな品物であり、多くのビルダーがリプロダクトで再現しています。

地味な外見にもかかわらず、その歴史的な意義とマニアックなディテールによって、「これこそがクラシックM16」と称賛されるファンは少なくありません。

XM16E1(1964~)

一般に「ベトナムバージョン」や「M16初期型」と呼ばれるこのモデルは、陸軍および海兵隊向けに開発されたモデル603です。

初期型には、いわゆるチューリップ型のフラッシュハイダーが装備されていましたが、枝などに引っかかりやすく、耐久性や防水性にも課題があったことから、1966年後半にはバードケージ型へと刷新されました。

チューリップ型フラッシュハイダー
この変更は既存のXM16E1にも順次適用されましたが、一部の部隊ではチューリップ型のまま運用が続けられたとも言われています。

また、ベトナム戦争という過酷な環境下での運用において、相次ぐ作動不良が問題となりました。主な原因は、火薬の仕様変更です。

制式化以前に使用されていたIMR火薬から、コスト重視で粒状火薬へと切り替えられたことにより、燃えカスの残留が増加。これがガス圧直結式の作動機構と相性が悪く、頻繁なジャムや動作不良を招いたのです。

さらに、「メンテナンス不要」とされた誤った認識から、クリーニングキットすら配布されず、兵士への整備教育もほとんど行われていなかったというから驚きです。

整備マニュアル 表紙
整備マニュアル表紙
整備マニュアル 内容
整備マニュアル内容
こうした事態を受けて、ボルトへのクロームメッキ処理、ストック内に収納可能なクリーニングキットの配備、そしてイラスト付きの整備マニュアルの配布など、現場の混乱を収束させるための各種対策が講じられました。

これらの経験を経て、1967年には改良型となる真打ち・M16A1が登場します。

まさにXM16E1は、“理想と現実のギャップ”に翻弄されながらも、M16シリーズの完成度を高める礎となったモデル。その歴史的価値は、今なおミリタリーマニアの間で特別な存在として語り継がれています。

M16A1(1967~)

M16A1は、XM16E1の弱点を徹底的に克服して完成された、いわば“戦場での答え合わせ”を経た正式採用モデルです。

1967年から本格的な配備が始まり、ベトナム戦争の泥濘の中で、その信頼性と耐久性を劇的に向上させました。

ボルトフォワードアシスト
最大の改良点は、XM16E1で導入されていたボルトフォワードアシストが正式装備となったことに加え、ボルトにクロームメッキ処理が標準化された点です。

これにより、耐腐食性が大幅に向上し、作動不良のリスクが著しく低減されました。

フラッシュハイダー
また、初期のXM16E1で問題となっていたフラッシュハイダーも、1966年から導入された耐久性の高いバードケージ型が標準装備となり、枝などへの引っかかりを抑える設計になっています。

加えて、M16A1ではメンテナンスキットの常備や整備教育の徹底も図られました。かつての「メンテナンス不要」といった誤解を招く広告は鳴りを潜め、兵士たちに正しい扱い方が浸透していったのです。

基本設計はXM16E1を踏襲しつつも、こうした細部の改良が実戦における信頼性を飛躍的に高めました。

XM16E1が“過渡期の試作モデル”だとすれば、M16A1は“完成された初期型”として、のちのM16シリーズの礎となった存在です。

現場からのリアルなフィードバックを受けて磨き上げられたこのモデルは、今なおミリタリーマニアにとって外せない一挺とされています。

M16A2(1983~)

M16A2は、M16A1をベースに、NATOの新標準弾であるSS109(M855)弾に対応するために改良されたモデルです。従来の1回転12インチのライフリングは、M855弾の安定飛翔に適した1回転7インチへと変更されました。

銃身も太くなり、剛性と耐久性が向上しています。外観上の大きな変更点としては、フロントハンドガードが三角形から円形に変わったことが挙げられます。

材質もナイロン系の高強度プラスチックに改められ、質感はマット調に。

リアサイトは2段階切り替え式から、距離調整が可能なダイヤル式へと進化しています。

さらに、カートリッジ・ディフレクターが追加され、排莢による被弾リスクを減らすとともに、左利きの射手にも配慮した設計となっています。

射撃モードはフルオートから3点バーストへと変更されましたが、これはギアラック式で、トリガーを途中で戻すと次回のバースト発射数が変わってしまうという独特なクセがあります。

新型フラッシュハイダー
そのほかにも、マズルジャンプを抑える新型フラッシュハイダーや、M16A1よりわずかに長くなった新設計の銃床など、細部にわたって改良が施されています。

全体として、M16A2はより高精度・高耐久なモデルとして進化を遂げた一挺です。

サイトの下の部分に上下の調整ダイヤルが付き、左右の調整も工具を使わず出来るようになりました。

M16A3(1992~)

E&C_M16A3

M16A3は、M16A2の改良型としてアメリカ海軍主導で誕生したモデルです。

A2で射撃モードが3点バーストに変更されたことで、特殊部隊が求めるフルオート火力が失われたことを受け、Navy SEALsの要請により開発されたのがA2E3、のちのM16A3(モデル646)です。

1992年にSEALsへの配備が始まり、1996年には正式採用されました。基本構造はM16A2を踏襲していますが、最大の違いは3点バーストではなく、フルオート射撃に回帰している点です。

M16 フラットトップ・アッパーレシーバー
また、M16A3ではキャリングハンドルが脱着式となり、フラットトップ・アッパーレシーバーを採用。

これにより、ドットサイトやスコープといった光学照準器の搭載が容易になり、現代戦に即した柔軟なカスタマイズが可能となりました。

SEALsだけでなく、海軍憲兵や工兵部隊、さらには艦艇乗員用としても広く配備され、M14の後継としての役割も担うようになります。

まさに、海軍仕様に特化したフルオートAR-15の決定版――それがM16A3です。特殊部隊のニーズに応え、現代戦の要求にマッチした完成度の高いモデルとして、現在も高く評価されています。

M16A4(1996~)

E&C_M16A4

M16A4(モデル946)は、M16A2の実戦性を継承しつつ、M4カービンで高評価を得たフラットトップ構造とピカティニーレールを正式採用した“第四世代”のM16です。

1996年に米陸軍が制式化し、1998年には海兵隊も正式採用しました。

M16 ピカティニーレール
キャリングハンドルは脱着式となり、アッパーレシーバー上部は全面がピカティニーレール化。これにより、ダットサイトやスコープ、バックアップアイアンサイト(BUIS)、ナイトビジョンなど多彩なアクセサリーを自由に搭載できるようになりました。

銃身はM16A2と同様に20インチの1:7ライフリングを継承し、M855弾の安定飛翔と高い剛性を確保しています。

発射モードはセミオートと3点バーストを採用し、弾薬の無駄な消費を抑えつつ命中精度を重視しました。

また、KAC(ナイツアーマメント社)のM5レイルアダプターシステム(RAS)を搭載することで、ハンドガード周りの装備拡張性も飛躍的に向上しています。

実戦では、湾岸戦争やイラク、アフガニスタンで使用され、特に海兵隊においては2003年初頭の長距離戦闘でその威力をいかんなく発揮しました。

M4
ただし、CQB(近接戦闘)では全長の長さが不利となり、2015年以降はより機動性を重視したM4へとシフトしていきます。

それでもなお、教育部隊や一部の支給部隊では現役で運用され続けており、伝統と実力を兼ね備えた名銃として現在も高く評価されているモデルです。

まとめ

一口に「M16」と言っても、モデルごとに特徴や仕様が異なり、M4カービンやマークスマンライフルといった派生モデル、さらには外部企業によって製造されたバリエーションモデルも含めると、その数は非常に多岐にわたります。

筆者自身もサバイバルゲームではAR15系をメインに使用しており、M16シリーズには特別な思い入れがあります。初めて手にしたのは東京マルイ製のエアコッキングタイプのM16で、電動ガン版のM16A1が発売された際には、迷うことなく購入したのを今でもよく覚えています。

今回はそんなM16好きによる「M16の歴史ざっくりまとめ」でした。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。


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