本日ご紹介する買取り銃は、熊本県八代市のお客様から宅配買取にてお譲りいただきました、MGCの固定スライド版オート9です。
言わずと知れた『ロボコップ』登場銃……とはいえ、旧式もいいところの銃ですね。ですがMGC M93Rが日本のエアソフトガン史上に残した功績は大きく、強引に今回のテーマにさせていただきます。ブローバックしない?それどころかトリガーを引くだけで連続で発射できること自体が奇跡だった時代があったんじゃよ……(急に老人キャラ)
1984年の末に突如JACから発表されたバトルマスターは、エアブラシなどに使うフロンガスでBB弾をフルオート射撃することが可能でした。それまで一発撃つごとにコッキングが必要だったエアガン界にいきなりフルオートを引っ提げてのデビューは衝撃的でした。同時にセミオートを一足飛びにしていたわけですね。
MGCの93Rは、MGC初のエアーガンとして1985年の春に発売されました。マガジン内にガスを注入し、ハンマーがマガジンのバルブを叩くことで1発分のガスが放出されるシステムは、原点であると同時に現在も受け継がれる完成したメカニズムだったと言えます。ただし各メカニズムの細部には違いがあり、現在は発射機構にスライドブローバックのプロセスがあるのが1点。また、マガジンへのガスチャージは今の生ガスを注入するスタイルとは異なり、マガジンを上にして気化したガスを入れるか、エアーをチャージしたボンベをマガジンに入れるスタイルでした。93Rが選択された理由は、大型マガジンでも違和感のない外観であったことにあったのでしょう。ホースレスであることで取り回しもよくリアルな外観も実現されたことで、MGC93Rは大ヒットとなります。
以後、他のトイガンメーカーはもちろん老舗のモデルガンメーカーも参入し、80年代後半はトイガンの開発戦争ともいえる状況になっていきます。そんな状況に区切りをつけたのが東京マルイの電動ガンでした。まあちょっと別のお話。
話を今回のテーマに戻しまして、MGC M93Rのリリースが85年、映画『ロボコップ』の公開が87年。同作に登場したカスタム銃オート9が93Rベースであったことも、MGC M93Rの人気を盤石にした理由といえるでしょう。実はMGCオート9の発売タイミングを失念しているのですが、既存品の改造でそんな公開からずれはなかったと思います。さらに厳密な発売順は失念しているのですが、この頃(87~88年頃)オートマティック用のスタビライザースタイルがブームになっており、MGCは固定スライドガバメント(GM6)用の、後付けのアルミ製スタビライザーを発売するなどしています。スタビライザー自体は実銃のマッチ用カスタムが由来だと思うのですが、オート9の銀幕デビューがスタビライザーの普及に影響ないしブーストを与えていたと思います。他社もノーマル版とスタビライザー風ウエイトをつけたカスタムタイプをラインナップするのが流行でした。なお、MGCオート9は『ロボコップ2』以降のプロップガン(非発砲シーン以外)としても使用されているようですね。
そんなかたちでエアガン史上で2つも3つも足跡を残しているMGCのオート9、ぜひともヒストリカル銃として手元に置きたい1丁です。実射性能もギリギリ実戦で使えなくもないですし、スタビライザー内部をいじってサイレンサー化するなどのカスタムもありかもしれません。
しかし80年代を振り返って衝撃でしたが、80年前後はまだつづみ弾でせいぜい最大で10m程度の距離で撃ち合っていたのが、わずか5年でフルオートやセミオート、そしてさらに5年後に電動ガンが登場と、あまりの目まぐるしさに気が遠くなりそうです。
今回調べきれなかったスタビライザーの歴史などとあわせて、いつか80年代のエアガン史を俯瞰してみたいところです。あるいはよい感じの資料などあれば教えてください。
(Tg)
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