大小様々な製品が発売されているエアソフトガン(以降エアガン)ですが、大きく分けると3種類の動作方式に分けることができます。
ここではそれぞれの動作方式の解説とともに、おすすめの使い方や一長一短について説明していきたいと思います。
第2回目はエアガンの歴史を変えた革新的な製品「電動ガン」についてです。
電動ガンとは
世界で初めて市販された電動ガンは東京マルイの『FA-MAS』でした。発売された当時はサバイバルゲームではエアタンクなどの外部ソースを用いたガスガンが主流で、ユーザーの多くは威力や連射性能などを求めるパワー至上主義の時代でした。そのため、威力や連射性能で劣る電動ガンはサバゲーユーザーの中では流行らないと言われていました。
当時のサバゲーの装備は、より威力を求めるために数キログラムもあるような大きなエアタンクを背負って野山を駆け巡るのが普通で、試合のたびにエアタンクに空気を補充するために空気入れで補充をする必要などがありました。
そんな中で発売された電動ガンは本体とバッテリーだけで動作させることができ、今までのような重いエアタンクも不要で、煩わしかったエアタンクと銃をつなぐホースも必要ないという事で最初は否定的だったサバゲーユーザーの間にも一気に広まり、数年で電動ガンがサバゲーの主流になり、現在に至ります。
電動ガンは大きくは「電動コッキングガン」「電動ガスガン」の2種類に分けることができます。
東京マルイの『FA-MAS』はエアコッキングガンのコッキング動作をモーターで行う「電動コッキングガン」になり、MGCやウェスタンアームズから発売された「電動ガスガン」はガスガンのガスバルブを電気的に叩いてガスを放出させ弾を発射させます。
今回は現在主流である「電動コッキングガン」についてお話をしていきます。
電動ガンの動作解説
電動ガンの動作は基本的にはエアコッキングガンと同じ物で、ピストンを押し下げて空気を取り込むコッキング動作をモーターとギアを用いて電気的に行っています。
基本的な構造や各部名称はこんな感じです。
エアコッキングガンとの違いとしてピストンの下にギアとモーター、そこに繋がるバッテリーなどがあります。
トリガーを引くとスイッチが入りモーターに電気が流れモーターが動作し始めます。ギアが回転するとまずはタペットプレートとそこにつながったノズルが後退してBB弾が上に上がってきます。
ギアの回転が進むとピストンが後退してシリンダー内に空気を取り込んでいきますが、先にタペットプレートが元の位置に戻り、その際にBB弾をチャンバーパッキン内に押し込んでBB弾が装填された状態になります。
ピストンのギアとギアの噛み合わせが外れるとピストンが開放され、スプリングの力でピストンが前に押し出されます。その際にシリンダー内の空気が圧縮されて外に向けて押し出されていき、バレルの中を圧縮された空気とともにBB弾が押し出されて発射されます。
東京マルイから自社の電動ガン用に販売されている純正バッテリーは昔と今ではバッテリーの種類が変わっています。
電動ガンが発売された当初は黄色いラベルに緑色(ODカラー)の文字がプリントされた「ニカドバッテリー」(通称黄色ラベル)が純正バッテリーとして販売されていましたが、2012年に製造が終了になり、現在は赤いメタリックのラベルが貼られた「ニッケル水素バッテリー」に変更されました。
両者の違いとしては同じサイズでもバッテリーの容量が2倍になり単純に長持ちするようになっています。
どちらも電圧は同じ8.4Vなので東京マルイの電動ガンにはどちらのバッテリーも使用はできますが、古い電動ガンでラージバッテリーを使用する機種の場合には、コネクタ形状が異なってきますので、ニッケル水素バッテリーを使用する場合には別売りの変換コネクターが必要になります。
バッテリーの管理について東京マルイさんに専用ページがありますので一読をおすすめします。
「バッテリーの取扱いについて」 https://www.tokyo-marui.co.jp/guide/battery/
電動ガンの良い点(メリット)
国内ではエアガン化されていない銃はもちろん、実銃メーカーのライセンスを取得して実銃と同じデザインやパーツを使用した物や、価格的にお得なものなど様々な製品が市販されています。
また、製品の中には連射性能が強化されたハイサイクルモデルなどもあり、秒間20発以上のBB弾を発射できる製品などもあります。
電動ガンの悪い点(デメリット)
電動ガンは他のエアガンと比べて本体価格は高価な物になります。また、使用するためにはバッテリーや充電器なども購入する必要があるため、最初に一通り揃える際には費用がかなりかかってきます。
ただ、バッテリーや充電器は他の電動ガンとも共有することもできますので、あくまで最初の時だけ費用がかかる物と考えてください。
使用者の中には自分でメンテナンスをされている方も多いですが、購入した店舗や、他店で購入した物でもメンテナンスやオーバーホールを引き受けてくれるお店さんもありますので、不安であれば定期的にそれらのサービスを利用してみるといいでしょう。
日頃から充電方法や保管の方法に注意することで、ある程度の延命ははかれますが、性能が落ちてきたと感じたら新しいバッテリーを購入するのをおすすめいたします。
バッテリーの取扱についてはメーカーページなどで詳しく解説していますので、一度読まれてみると良いかと思います。
東京マルイが純正として販売しているのは「ニッケル水素バッテリー」、KSCが純正として販売しているのは「ニカドバッテリー」になりますが、最近人気の高いバッテリーに「リチウムポリマーバッテリー」(リポバッテリー)というものがあります。
従来のバッテリーとリポバッテリーの違いは、リポバッテリーは瞬間の放電量が高いため、引き金を引いた際の動作が素早くキレがあり、普通の電動ガンに使用するだけで連射速度が早くなります。
サイズからみた容量もリポの方が大きいので良い所尽くしではありますが、通常よりも素早く動作させるため内部のギヤ等への負荷は大きく、箱出しの状態では電動ガン自体の寿命を縮める可能性もあります。
また、リポバッテリーは強い衝撃を与えたり、充電時に専用の機器を使用しないと発火する可能性もあり、使用後の保管時には専用の機器で放電を行ってから耐火性のバッグに入れて保管するなど、管理の部分でも絶えず注意する必要があります。
とはいえ、電動ガンの性能を手軽に上げることができるため、気になる方はショップさんなどに使い方も含めて相談してみてはいかがでしょうか。
おすすめの使用用途
サバイバルゲームで遊ぶ
《電動ガンとは》で書いたとおり現在のサバイバルゲームで使用されるエアガンのほとんどは電動ガンになります。エアコッキングガンやガスガンでも楽しむことはできますが、連射性能や30~40m先の標的にヒットさせる精度など性能面で見ると電動ガンを使用されたほうがより楽しめると思います。
ドレスアップパーツで見た目をカスタマイズ
電動ガンにはメーカー純正の専用パーツ以外にも多くの社外メーカーから対応したパーツが販売されていて、中には実銃に使用されているパーツなども販売されています。それらのパーツを使用して外見をドレスアップして自分だけのこだわりのエアガンを作り上げるのも楽しみ方の一つです。
強化パーツを組み込んで自分好みに改造する
電動ガンの内部は前述の《電動ガンの動作説明》のように様々なパーツで構成されています。これらのパーツはドレスアップパーツ同様、メーカーの純正品や社外メーカーから様々なパーツが販売されており、これらのパーツを組み合わせることで例えば連射性能に特化したエアガンにしてみたり、 命中精度や射程距離に特化させるなど様々な方向性にセッティングすることができます。
内部をいじるのは初心者では難しいかもしれませんが、チューニングを請け負ってくれるショップさんなども多数ありますので、一度相談してみるといいかもしれません。
おすすめ電動ガン 5選
東京マルイ HK416D DEVGRUカスタム
東京マルイの次世代電動ガンの中でも高い人気を誇るのがHK416シリーズになります。元になった銃はドイツのH&K社が米軍の依頼を受けてM4A1をベースに開発された同名の銃で、電動ガンでもHK416の特徴である光学サイトやフォアグリップなどが装着できる拡張性の高い20mmレールや、独自デザインの樹脂製のグリップなどがしっかりと再現されています。
HK416シリーズは次世代電動ガンで5種類発売されていますが、その中でも一番人気のあるモデルが今回おすすめする「HK416D DEVGRUカスタム」になります。シリーズとしては2番めに発売された同モデルは実際に存在する米軍の特殊チームが使用しているカスタムモデルをイメージして再現した物で、元になったHK416Dと比べ、グリップやストックなどが変更されていると共に、標準でサイレンサーが付属しているのでが特徴です。
性能面は東京マルイ製ですので箱出しでもすぐに使えるので心配は無用。最初からサイレンサーやフォアグリップが付属しているのでカスタム品のようなカッコ良さもありますが、スコープやドットサイトなどの光学サイトを乗せれば実用性も高まるのでおすすめです。
次世代電動ガンになりますので発射時にストックに衝撃が伝わってくるショートリコイル機能や、弾を打ち尽くした際に自動で動作を停止させるオートストップ機能など、従来のただ弾が飛び出すだけの電動ガンから更に進化したよりリアルな機能な搭載されているのも魅力です。
東京マルイ AKストーム
AKストームは東京マルイが発売する次世代電動ガンの最新モデル(2020年6月現在)になります。製品名の通りAKがベースになりますが「AKストーム」はAK47を最近の流行を取り入れて現代風にカスタマイズした東京マルイオリジナルデザインのカスタムモデルになります。
従来のAKのバレルを短くカットしたショートバレルと、長さの調節が可能なストックにより重全体がコンパクトになることで銃の取り回し易くなっており、マガジンの挿入を素早く行えるマグウェルや、スコープを取り付けできるマウントベースを標準搭載。
東京マルイの製品では初採用されたM-LOK(エムロック)レイルシステムは、実銃の世界でも最新のレイルシステムになります。
次世代電動ガンの最大の特徴である射撃時に銃全体に反動による衝撃が発生するリコイルシステムや、マガジンを打ち尽くすと動作が停止するオートストップももちろん搭載されています。
AKは固定ストックや拡張性の低さなどで現代風のデザインを好むユーザーから嫌厭されがちでしたが、今回の「AKストーム」ではそれらの悪いイメージが払拭され、拡張性も高く、取り回しの良さや操作性の高さなど初めて購入するエアガンとしてもおすすめの一丁です。
東京マルイの「MP7A1」は電動ガンの中でもコンパクトマシンガンと呼ばれるカテゴリーになり、コンパクトの名の通り銃自体のサイズも小さく、重量も1.39Kg(バッテリー含まず)と軽いため、フィールドを走り回るサバゲーマーや、女性などに人気の電動ガンです。
(上記でおすすめしているDEVGRUカスタムが3.7Kg、AKストームが2.9Kgになります)
コンパクトなサイズなからメイン武器としても十分に活用できる性能があり、東京マルイの製品なので箱から出して、改造や調整などしなくてもすぐにサバゲでも使用することができます。
人気の理由の一つに拡張性の高さがあります。20mmのピカティニーレールが3面に付いているのでドットサイトやスコープなどの光学機器やライトなど様々な機器を取り付けることが可能で、サイレンサーやフルオートトレーサーなども付属のアダプターを使用することで取り付けることができます。
社外メーカーからもチューニングパーツやカスタムパーツが多く発売されていますので、それらのパーツを用いて自分だけのMP7A1に作り上げることも可能です。
コンパクトで軽いので取り回しもよく、ハンドガンのような感覚で取り扱う事も可能です。サバゲーで重い銃を一日持って遊ぶのはキツイという方も多いですので、初めての方や女性などにおすすめの一丁です。
東京マルイ AA-12
東京マルイ「AA-12」は2016年に発売されたフルオート電動ショットガンです。
今まで発売されていたショットガンはバレル下のグリップを前後にスライドさせて弾を装填させて発射するポンプアクション方式のものでしたが、この「AA-12」は実銃の通り自動で弾を装填して発射させることができるオートマチックショットガンになります。
東京マルイのショットガンシリーズの特徴でもある3発同時発射の機能ももちろん搭載されており、フルオート時には1秒間に10回の発射が可能ですので、付属の93発入るマガジンを3秒で撃ち尽くすほどの強力な連射性能を有しています。
また、それぞれのバレルは個別にホップアップの調整が可能ですので、弾を拡散させたり、まっすぐ飛ばしたりするなど発射後の弾道を自分好みに調整することも可能です。
純正パーツとしては装弾数3000発のドラムマガジンなど、多弾倉マガジンは充実していますが、光学サイトなどを取り付けるための20mmレール等は発売されていないため拡張性の面では劣る部分があります。
ただ、それらを補ってあまりある連射能力はかなりの脅威で、サバゲー界隈では恐れられている銃の一丁ではあります。
銃の重さが4kg以上あり、狙って撃つというよりは大量に弾を発射して相手を制圧していくような銃ですので初心者の方には扱いが難しいかもしれませんが、あの連射能力は思わず笑いが出るほどに衝撃的ですので、それらを踏まえて愛銃として使用するのも一つのプレイスタイルではないでしょうか。
電動ガンはライフル以外にもハンドガンも発売されています。
ハンドガンと言うとリアルなブローバックアクションや射撃時の衝撃などで人気のガスブローバックが注目されがちですが、冬などの寒い時期に著しく性能が落ちるためサバイバルゲームにおいては一年を通して安定して使用できる電動ハンドガンを使用するユーザーが多く居ます。
ライフルなどに比べると威力の面では落ちる部分はありますが、ホップアップの設定次第で30~40m先のターゲットにもしっかりと当てることができ、電動ハンドガンにはフルオートも搭載されていますので、いざという時のサブウェポンとしても活躍してくれます。
東京マルイから発売されている純正アクセサリーも豊富で別売りのマウントを装着することでドットサイトやスコープなどの光学機器、サイレンサー、ライトなど特殊部隊さながらのフル装備を純正パーツで組み上げることが可能です。
社外メーカーからも内部のカスタムパーツが多数発売されているので、銃の性能を上げるカスタマイズも可能です。
サバゲーにおていはメインウェポンとして使用するには心もとない部分がありますが、サブウェポンとしてはフルオート機能などもあり心強い一丁だと言えます。
《画像出典》 東京マルイ