【エアガン講座】エアコッキングガン編 動作方式の解説から楽しみ方まで

エアソフトガン(以降エアガン)と言うと大小様々な物が発売されていますが、大きく分けると3種類の動作方式に分けることができます。
ここではそれぞれの動作方式の解説とともに、おすすめの使い方や一長一短について説明していきたいと思います。

第1回目はエアガンの黎明期から存在している「エアコッキングガン」についてです。

 

エアコッキングガンとは

エアガンは圧縮した空気(ガス)を利用して弾を発射する遊戯銃のことを指しますが、その圧縮する動作を手動で行うのがエアコッキングガンになります。

最初のエアコッキングガンが登場したのは1970年代になります。使用する弾丸は当時主流だったツヅミ弾で、今のように空気の力で発射する物以外にも、バネの力で撃ち出す物(スプリングガン)も販売されていました。
ツヅミ弾を使用する銃の多くはライブカート式の物がほとんどで、カートリッジにツヅミ弾を詰めて使用しますが、飛距離や精度はBB弾程はないため、どちらかと言うとカートリッジの排莢などリアルな動作を楽しむ傾向が強かったと言えます。


低価格!高品質!時代を変えた東京マルイのエアーハンドガンシリーズ。銀色の箱が目印

その後、1980年代になりBB弾が登場するとツヅミ弾から一気にBB弾が主流となっていきますが、そんな中、1985年にはエアコッキングハンドガンの革命とも言われる東京マルイの1900円シリーズが登場。低価格でありながら高い命中精度を誇ると大人気を博し、その後も長物のエアコッキングライフルなど多くのシリーズが発売されました。


ハンドガン以外にも長物も発売されていました。残念ながら今はシリーズ自体が廃番に

エアコッキングガンは電動ガンやガスガンなどと比べても比較的安価で購入することができ、シンプルな構造ゆえに故障しにくい一面があります。
サバゲーなどでの使用は厳しい所もありますが、的を撃って遊んだり、仲間内でサバゲーごっこをするのにはおすすめのエアガンです。

 

エアコッキングガンの動作解説

エアコッキングガンの動作は至ってシンプルです。
本体内部にあるバネの入ったピストンを手動で押し下げてピストン内に空気を取り込み、その後バネを開放してピストン内の空気を一気に押し出してBB弾を発射するわけですが、それぞれの動作工程について図を交えながら解説していきます。


BB弾の装填されていない最初の状態になります。
各所の名称はこんな感じです。


コッキングレバーを引くとピストンシリンダー(青)シリンダー内部(赤)が一緒に後退していきピストンシリンダー(青)内に空気が取り込まれます。
後退したシリンダー内部(赤)シアー(水色)に引っかかりバネが戻らないように固定されます。
ピストンシリンダー(青)が下がるとBB弾が上に上がってきます。


コッキングレバーを元に戻すとピストンシリンダー(青)が前進して元の場所に戻ります。その際にBB弾が押し込まれてバレルにつながったチャンバーパッキン(緑)に装填されます。


トリガー(紫)を引くと連動してシアー(水色)が下に降りて止まっていたシリンダー内部(赤)が開放されます。
これによりバネが元に戻ろうとしてピストンシリンダー(青)内の空気が圧縮されて前方に放出され、チャンバーパッキン(緑)内のBB弾が圧縮された空気と共にバレル(黒)を通って外に発射されます。

内部の構造はエアガンによって異なりますが基本的な動作はこのような感じになります。
ちなみに電動ガンも基本的には同じ動作になり、手動でコッキングレバーを引いてピストンを後退させる行為をモーターを使って電気的に行っているだけになります。

 

精密射撃用のエアガンに採用されているコンプレストエアー方式


マルゼンやKSCから発売されている精密射撃競技向けのハンドガンのほとんどにはコンプレストエアー方式が採用されています。普通のエアコッキングガンと比べ、どちらも空気を圧縮して発射するという点では同じものですが、その圧縮する方法に違いがあります。

エアコッキングガンの場合にはコッキングした際にシリンダー内に空気を取り込み、トリガーを引くとピストンがバネの力で押され、その空気を一気に圧縮させてピストン先端の細いノズルから空気を放出しますが、コンプレストエアーはバネの力を利用せず、本体内のタンクに空気を取り込みながらそのまま手動でその空気を圧縮して溜め込み、トリガーを引くと同時に圧縮された空気を放出されます。

エアコッキングと違い、タンク内の圧縮された空気を放出するだけのため、発射時に衝撃が少なく高い命中率を引き出すことが可能であり、一定の圧力で圧縮するため、安定した動作を望む事が可能です。

 

エアコッキングガンの良い点

比較的安価に購入できる

 ガスガンや電動ガンに比べると定価も低く、比較的安価に購入することができます。

 ガスブローバック 12,800~27,800円
 固定スライドガスガン 3,900~15,800円
 エアコッキングハンドガン 1,900~3,500円

上記の表は東京マルイのハンドガン商品を定価ベースで比較した物になります。あくまで定価ベースなので実際の販売価格は上記よりも安くはなりますが、同じエアガンでもここまで価格に差があります。 

 

外部動力源は必要なし!いつでも使える
電動ガンの場合には充電したバッテリー、ガスガンの場合には専用のガスを用意する必要があります。
エアコッキングガンの場合にはそれらの外部動力源は必要としませんので、エアガンが1丁あればそれだけで動作させることが可能です。
また、バッテリーやガスのように使用中に充電した電気がなくなったり、ガスが切れる事はありませんので、その点でも安心して使用することができます。

 

気候に左右されない安定した動作性能
バッテリーやガスなどの外部動力源を用いる場合、気温が低い場所では正常に動作できない場合があります。
その点エアコッキングガンであれば外部動力源を使用しませんので一年中安定して動作させることが可能です。

 

シンプルな構造で故障知らず
 製品にもよりますが、エアコッキングガンは比較的シンプルな構造の物が多くあります。部品数の少ないシンプルな構造のため故障しにくく、故障しても容易に修理を行う事ができるため長い期間に渡って使用することができます。

 

 

エアコッキングガンの悪い点

連射が出来ない
エアコッキングガンは手動でのコッキング(ピストンに空気を取り込む作業)が必要になるため、連続で素早く弾を発射するのには向いていません。
製品の中には引き金(トリガー)を引いた状態でコッキングすることで連続して弾を発射できるラピッドファイアと呼ばれる機能が付いている物もありますが、電動ガンやガスガンに比べると連射速度や命中精度はあまり望めません。

 

改造パーツが少ない
エアコッキングガンの中でもボルトアクションライフルやショットガンなどはメーカーパーツや社外パーツが多く発売されている製品もありますが、ハンドガンに関してはそういったパーツはあまりないので自分で改造したり、見た目をドレスアップする事はあまりできません。
ただ、安価で構造もシンプルため、自分で分解して外装パーツをスプレーで塗装したり、わざと汚してダメージ表現を行うユーザーも多くいます。

 

 

おすすめの使用用途

遠くの相手をスナイピング!サバイバルゲームでスナイパー
サバイバルゲームでスナイパーとしてボルトアクションライフルを使用しているユーザーの殆どはエアコッキング方式のボルトアクションライフルを使っています。
理由としてはエアコッキングガンは気温や環境による影響を受けることが無いため安定した性能を期待できる事が大きな要因と言われていますが、バッテリー切れやガス切れなどで使えなくなる事や、シンプルな構造ゆえに不意な動作不良が発生しにくい点も選ばれる理由です。

室内で遊ぶ
製品にもよりますが、エアコッキングガン、特にハンドガンについてはガスガンなどに比べ威力が低いため、室内や部屋の中などの狭い空間で遊ぶ際には適しています。
特に室内のサバイバルゲームエリアなどでは威力制限を設けている店舗も多く、中にはエアコッキングガン限定のゲームなどを開催している店舗もあります。

リアルな動作感が楽しいショットガン
実銃のショットガンにはポンプアクションと呼ばれる装填方法を用いた銃が多くあります。バレルの下のグリップ部分を勢いよく前後にスライドさせて弾を装填する動作ですが、エアコッキングのショットガンでもこの動作を採用した製品が多く発売されています。
実銃と同じように勢いよくグリップを前後にスライドさせる楽しさもありますが、本体内にバレルが3本搭載されていて同時に3発のBB弾を発射する事ができたりと、性能的にもサバイバルゲームで十分に通用する能力を持った製品も多くあります。

 

おすすめエアコッキングガン 5選

ボルトアクションライフル

東京マルイ VSR-10
VSR-10は東京マルイが発売しているエアコッキング方式のボルトアクションライフルになります。VSR-10の一番最初のモデルが発売されたのは2003年になり、現在までにバージョンやカラーの違いで9種類が発売されている人気の高いシリーズの一つです。
発売されて16年以上が経過した今でも高い人気を誇っており、箱から出した状態でも高い命中精度と集弾性を誇っているのも人気の一点ではありますが、社外メーカーから多数の改造パーツが発売されているので自分なりの改造やドレスアップが行えるのも人気の要因です。
東京マルイから純正アプションパーツとして「スコープ」「スコープマウント」「バイポット」「サイレンサー」などが発売されていますので、東京マルイの純正パーツだけで組上げる事も可能です。とかく購入したパーツが自分の銃に使えるのか悩みがちですが、東京マルイの純正パーツであれば、対応の有無が明確に表記されていますので、初めての方でも安心してご購入頂く事ができます。
サバゲーだけでなく、標的を撃って遊ぶのにもおすすめの一丁です。

 

ボルトアクションライフル

ARES AMOEBA Strikerシリーズ
ARES(アレス)は香港のメーカーになります。海外製のエアガンは国内メーカーの品に比べると劣っていると思われがちですが、近年では性能は国内メーカー品に勝るとも劣らず高く、逆に国内メーカー品には無いようなデザインや金属パーツを多用した製品なども多く使用するユーザーも増えています。
ARESは元々AMOEBA(アメーバ)と言うサバイバルゲームブランドを展開していて、M4系の電動ガンで人気の高いメーカーですが、今回オススメするStrikerシリーズはARES初のエアコッキング方式のスナイパーライフルになります。
画像の上から一般的なスナイパーライフルのAS01、狭い空間などでの仕様を想定したCQB向けのAS02、そしてストックレス仕様のボルトアクションライフルとは思えない外見のAS03の3タイプが現在販売されています。
Strikerシリーズの特徴としては同社の電動ガンシリーズと共通の部品を使用しているため、スプリングを交換して強化や威力の調整を行う事ができ、カスタムパーツも純正パーツとして販売されていてカスタマイズの要素が高く、ボディカラーも最初から4色用意されているので自分のスタイルに合わせて色を選ぶこともできます。
サバイバルゲーム向けのブランドなだけあって、デザインや使用感などゲームを意識した作りになっており、性能面でも命中精度が高いのでサバゲだけでなく、標的を撃って遊ぶのにもおすすめです。

 

ショットガン

 東京マルイ スパス12
東京マルイのエアコッキング式のショットガンシリーズは1998年に登場しました。
第1弾は「スパス12」、その後「スパス12メタルストックモデル」「M3スーパー90」「M3ショーティ」と発売され、2001年の「M203タクティカルランチャー」以降は新商品は登場していませんが今でも同シリーズの人気は高く、サバイバルゲームなどでも使用者を多く見かけます。
東京マルイのショットガンシリーズの最大の特徴は、実銃用のショットシェル(弾丸)を模した専用のマガジンに30発のBB弾を装填して、1回のコッキングで同時に3発のBB弾を発射できる点にあります。 3本のバレルから同時に発射される弾は(もちろん個体差はありますが)高い集弾性があり、固定ホップにより30m先のターゲットにあてる事ができるなど高い性能を誇ります。
現在ショットガンシリーズは電動ガンやガスタイプに方式を替えて新しい商品がリリースされていますが、ユーザーの間ではエアコッキングの方が命中率が良いと言われており、今でも売れ続けている要因がそこにあります。
コッキングが少し重いため女性には扱いが難しいと思われますが、3発動時発射による弾幕や命中精度の良さで屋外、室内問わずサバイバルゲームにおすすめです。
何よりショットガンのポンプアクションが好きな方には迷わず使っていただきたい一丁です。

 

ショットガン

CYMA べネリ M3 Tac. M-STOCK CM366BK
CYMAは中国のエアガンメーカーになります。商品は比較的定価が抑えられていて安価で入手する事ができますが、中国製だから安かろう悪かろうと言うことはなく、箱出しでもそれなりに命中精度が良いと言うことでコストパフォーマンスに優れていると人気のあるメーカーです。
今回おすすめする「べネリ M3 Tac. M-STOCK CM366BK」はエアコッキング方式のショットガンになります。構造や機能などは東京マルイの製品と似ており、ショットタイプの専用マガジンを採用していて、1回のコッキングで同時に3発のBB弾を発射することが可能です。
外観もマグプル風なCTRストック、キーモッド、20mmピカティニー・レール、折りたたみ式のサイトなど現代的なデザインでまとめられており、実勢価格が13,000円とは思えない見た目をしています。
ボディは樹脂製のため強度的な不安はありますが、逆にかなり軽く仕上がっているので取り回しやすい一丁になっています。
また、拡張性もあるのでフォアグリップやドットサイトなどもそのまま取り付けることができるのもおすすめのポイントです。
ショットガンなのでコッキングが重く女性にはおすすめしにくい部分はありますが、サバイバルゲームでの使用にもおすすめの一丁です。

 

ハンドガン

東京マルイ ソーコム Mk23
東京マルイのエアコッキングハンドガンシリーズが登場したのは1985年になります。1900円という低価格帯ながらリアルな外観と何よりも命中精度の高さで大ヒット、一気にトイガンメーカーとして東京マルイが注目されるようになりました。
その後1900円シリーズは90年代前半で値上げが行われ、現在は外見がリアルになる一方で、マガジンキャッチ機能やホップアップなど機能や性能面がアップした物がエアーハンドガンシリーズとして販売されています。
エアーハンドガンシリーズは現在生産終了した物も含め多くの種類が発売されていますが、現在でも生産されている物の中でおすすめの製品は『ソーコム Mk23』になります。
理由としましてはスライドが大型のためコッキングがかなりしやすく、また他の製品と比べてコッキングが軽く感じられる点が挙げられますが、マズルの先端部分が16mmの正ネジのため、市販されている変換アダプター等を使用すればサプレッサーも取り付ける事ができる点も他のエアコキと比べておすすめする理由の一つです。
サバゲーなど本格的なものではなく、的を撃って遊んだり、仲間内でサバゲーごっこで遊ぶ際に最初の一丁としておすすめします。

 

 

エアコッキングガンまとめ

エアコッキングガンはエアガンの黎明期から発売されている基本的な動作方式のエアガンです。
手動でコッキングをするため、連射もできなく使い勝手が悪いように思えますが、気温や環境に影響されない高い安定性や、外部動力源を使用しないのでいつでも使えコストパフォーマンスの高さではエアガンの中で最も優れていると言えます。

サバイバルゲームなどの向かい合っての撃ち合いでは連射性能で劣る部分はありますが、スナイパーのように離れた所から狙って撃つのであれば連射性能は関係がなく、逆にチャンスが来た際に確実に相手にヒットさせるためには安定した性能が求められるので、エアコッキングガンは最適な選択と言えます。

仲間内などで遠くに標的を置いて撃って楽しむのにもエアコッキングガンなら性能的に申し分はありません。最近のエアガンなら10~20m位の範囲でも狙って当てることが可能です。

エアガンで遊んで見たいと思った際に比較的初期費用を抑えることもできますので、初めての方にこそ、エアコッキングガンをオススメします。

 

《画像出典》
 東京マルイ
 マルゼン
 AMOEBA  Airsoft.
 UNION FIRE COMPANY