1930年代にイギリス軍が採用し幾度かのマイナーチェンジを経て湾岸戦争時期まで使用されたブレン軽機関銃。その無可動実銃をお譲りいただきました。くれいも屋をご利用いただきありがとうございます。
軽機関銃の歴史は塹壕戦が主流となった1914年開戦の第一次世界大戦のフランスまで遡ります。当時、フランス軍は個人で運用できる機関銃や自動小銃の導入に消極的なまま開戦を迎えますが、大量に人員と弾薬を消耗する塹壕戦において大敗を喫します。
配備されていたMle1914重機関銃は高価なうえ本体だけで24.3kgと重量もかさみ、歩兵部隊に追随して運用することもできませんでした。そのため、より軽量な機関銃の開発に着手します。そうして開発されたFM Mle1915軽機関銃は重量約9kg。ソンムの戦い(1916)で初めて本格投入され、突撃射撃においてその有効性が認められました。
ちなみにこのソンムの戦いはイギリス軍の戦車が初実践投入された戦いとしても歴史に名を残しています。第一次世界大戦の後、各国で軽機関銃やサブマシンガンの開発が行われるようになります。イギリスではチェコスロバキアのZB 26軽機関銃が採用され、一部設計を.303ブリティッシュ弾対応へと変更してライセンス生産されたものがブレン軽機関銃です。
シンプルな構造で、銃身の交換も容易となっています。第二次世界大戦ではフランス軍にも供給され、主に分隊支援火器として運用されました。その後朝鮮戦争を経て、1950年代に7.62×51mmNATO弾仕様へと変更されます。
MG34などと同様、標準で付属する二脚以外にも、三脚や車両搭載用機銃としても使用されました。その後イギリスではL86LSWやMINIMIへと置き換えられます。
上部にマガジンをセットするため、フロントとリアサイトは本体左よりで、マガジンを避けるようにマウントされています。そのほか実銃ベースゆえ当たり前といえば当たり前なのですが、全体の重量感や木製ストックの質感など素晴らしく、眺めていて飽きません。
ちなみに80年代にアメリカのドーナウス&ディクソン社が発売した「ブレン・テン」は、チェコスロバキアのCz75をベースにした10mmオート弾を使うコンバットシューティング用オートマチック拳銃です。
当時「理想の銃」として評価されたCz75ですが、冷戦下のため入手が難しいものでした。そのためアメリカ版Cz75拳銃として開発され、チェコの軽機関銃をベースとしたブレン軽機関銃にあやかって名付けられたのがブレン・テンです。
威力に上限を設定されている現代のサバイバルゲームでは、軽機関銃はかさばり重量もあるため敬遠されがちです。しかし実戦ではアサルトライフルの5.56mm弾の一つ上の7.62mm弾による援護射撃で仲間が突撃をかける間、相手の頭をおさえつける頼もしい役割を持っています。
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