【今では考えられない!?】昔のエアガンの威力と規制
エアガンの性能や技術が時代と共に大きく変化していることはご存じでしょうか。
ふと、昔遊んでいたライフルてに取り、新しく近所に出来ていたサバイバルゲームフィールドへと向かい、スタッフにライフルを見せると「そのライフルはこのフィールドでは使用不可です。」と言われてしまった、なんて人もいるのではないでしょうか。
1980年代のエアガンは、令和の世に販売されているハイテク機種とは異なり、単純な構造でありながらも時には高威力を誇っていました。しかし、2005年にエアガンが悪用される事件があったため、適正な威力に制限され、安全性が重視されるようになりました。
本記事では、そんなエアガンの歴史やその威力の変遷と規制について詳しく探り、昔と今のエアガンの違いや技術革新の背景に迫ります。
エアガンの歴史的背景と発展
エアガンは常に技術と共に進化し、その背景には様々な出来事が影響を及ぼしてきました。特に1990年代に入ってから飛躍的な進化が見られ、それ以前はシンプルな構造と限られた威力を持っていたエアガンも、時代を経るにつれて大幅に性能が向上していくこととなります。
また、技術の進化と共に、エアガンは娯楽としてだけでなく、トレーニングツールやコレクターズアイテムとしても評価が高まっていきます。
エアガンの登場と技術革新の変遷
もっともシンプルなエアガンはエアコキ(エアーコッキングの略)と呼ばれる手動コッキング式でしょう。手動コッキング式は単純なメカニズムでありながらもエアガンの基礎を築きましたが、後に登場するガスガンや電動ガンが市場に革命をもたらしたのです。
手動コッキング式
手動コッキング式エアガンは、2000年代初期までは強いスプリングを用いて、0.2gのBB弾で120m/s~150m/s(およそ1.5〜2ジュール)ほども威力があるエアガンも堂々と売られていました。
エアコキのハンドガンは廉価な子供向け、入門モデルとして販売されていましたが、その単純な構造はライフル型ではハイパワー化が容易であるという利点となりました。
バッテリーやガスを使用しないためエアガンの中でも特にシンプルな構造をしています。人力でスプリングを縮めてトリガーを引くことで、ピストンがスプリングの力で前進し、シリンダー内の空気を圧縮。その圧縮された空気がBB弾を押し出し発射するという構造になっています。
ガスガン
ガスガンは、フロンガスやCO2、圧縮空気を利用することで、いちいちスプリングを圧縮する手間から解放され、トリガーを引くだけで手軽に連射できるようになり人気を博していきます。
やがて連射できることでBB弾をバラ撒く快感の虜となった大勢の男の子たちにより、サバイバルゲームのブームが到来します。
具体的には、圧縮ガス(多くの場合CO2やHFC134aなどのフロンガス)を内蔵のタンクやカートリッジに充填し、引き金を引くとタンクのバルブが開き、気化したガスが一気に放出されることでBB弾が発射されるという構造になっています。
近年では、動作部分がブローバックする機構を持つガスブローバックと呼ばれるものが登場し、実銃に近いリアルな動作を再現します。
このため、サバゲーやタクトレ(タクティカルトレーニング)においても高い評価を得ています。
外部ソース式
外部ソース式エアガンは、は威力が1ジュールを超えるものも多くあり、中には2~3ジュールを超え、空き缶や薄い木の板を貫通するような威力を何十発も放つことが出来るものもありました。
構造としてはエアガン本体に直接内蔵されたガスタンク、カートリッジを使用するのではなく、外部のエアタンクなどからホースでエアガンにガスを供給する仕組みです。
この構造により、連射時のガス切れを防ぎ、より安定した発射が可能になります。また、外部のガスタンクの容量が大きい場合には、より長時間の射撃が可能となります。一部のモデルは高圧のエアタンクを利用して非常に高い初速を実現していました。
外部ソース式はパワーソースの選択肢が広く、比較的容易にハイパワー化することができました。これにより、一部のユーザーはより高威力のエアガンを好み、エアタンクの圧力を上げることで発射速度や飛距離を向上させていたのです。
こうした外部ソース式エアガンをハイパワーにすることができた根幹には、BV式という構造があります。
BV式
BV式は、Bullet Valve方式の略で、文字通りBB弾がバルブ代わりとなる構造をしています。
このBV式の仕組みは、高いガス(圧縮空気)圧力をそのまま生かせ、かつインナーバレルを長くすればするほどBB弾が加速する時間が延びるという特性があり、簡単にハイパワーを得られるものでした。
令和の時代にこうした外部ソース式エアガンを安全に使用するにはガスの圧力を調整する【レギュレータ】が必須となっています。
しかしレギュレータを使用していても、昔のハイパワーカスタムされていた頃の印象が強いせいか、ほとんどのサバゲーフィールドで対人用としては使えないでしょう。
電動ガン
さらに進化したのは、皆さんもよく知る電動ガンです。
気化したガスのエネルギーを利用しているガス式では、連射を続けると気化熱によりガスタンクが冷えてしまってガスが気化せず連射がストップしてしまったり、圧縮空気式では大きなエアタンクを背負う必要がありました。
その一方、電動ガンはバッテリーを動力源とし、モーターの力で連射が可能なシステムを搭載しています。そのため、連射がしたくてたまらない男の子たちは遮二無二飛びつき、大型のバッテリーで数千発のBB弾を野山ににバラ撒き始めました。
従来型の電動ガンは圧倒的な連射性能と命中精度を誇りますが、リアルさという点ではガスブローバックガンには及びませんでした。
やがて東京マルイが次世代電動ガンシリーズをリリースし、その優れた命中精度と連射性能はそのままで、ブローバックのリコイルショックや弾切れ時のボルトストップを疑似的に再現し、サバゲーマーの心を一瞬にして鷲掴みにしました。
電動ガンはさらに進化しますと【トレポン(トレーニングウェポン)】や【DAS(Dynamic Action System)】のような、東京マルイ製電動ガンとは一線を画した超高級な電動ガンも登場していきますが、これらはまたの機会に。
エアガンの発展は単に技術面の向上だけでなく、法的規制との兼ね合いも影響しています。
現代のエアガンは、当時のものと比べて使い心地が向上しているだけでなく、より安全な製品としても進化を続けています。
そこで、次章ではこれまでのエアガンの特徴と、進化の過程についてご紹介していきたいと思います。
年代別のエアガンの特徴と進化
エアガンはユーザーのニーズや安全性の向上、法規制の厳格化などによって絶えず改良が進められた結果、日本独自のものとして発展してきました。
昔のエアガンの構造と実際の威力
昔のエアガンは現代のものと比べると技術的には未発達でしたが、その構造や威力は多くの興味深い特徴を持っていました。本章では、そんな昔のエアガンの構造とその実際の威力について詳しく解説していきます。
威力の測定方法とその変遷
エアガンの威力を正確に測定する方法は年代と共に進化してきました。これは、エアガンの性能を正確に評価するために必要な技術が進化したからです。初期のエアガンでは、主に簡単な距離測定器や簡易的なターゲットを使用して威力を評価していました。
例えば、ある距離から発射されたBB弾がどれだけ飛ぶかや、空き缶をどれだけ変形させられたかを大まかな目安にそのエアガンの威力を測っていました。
はるか昔のサバゲーフィールド(と称した河川敷や林の中)には弾雨に晒されボコボコにされた空き缶が木の枝に吊るされていたりしたものです。
仲間の持っていたライフルが一発でそんな空き缶を貫き、持ってきた本人を除く全員一致で使用禁止になった記憶もあるような、ないような。
しかし、当然ながら空き缶を使った方法では精密な威力測定が難しかったため、誤差が生じやすいのが欠点でした。
そのため、現在ではクロノグラフや高精度のセンサーが搭載された弾速計を使用して、エアガンの威力を非常に精密に測定することが可能になっています。弾速計は読んで字の如く、発射されたBB弾の初速(弾速)を計測する装置で、これによりエアガンの威力を数値化して示すことができます。
法律と規制の歴史とその影響
エアガンの歴史には、法律と規制の影響が大きく関わっています。
規制は、安全性や犯罪防止の観点から重要な役割を果たしてきました。
エアガンの規制は、構造的な面やBB弾の運動エネルギーなどの要素に基づいて制定され、適正な使用を促しています。
【2005年】改造したエアガンによる発砲事件を契機に高威力なエアガンが流行
・自主規制だけでは解決困難と判断し、法規制に向け世論形成が進行
→エアガンの法規制を行うことを発表
【2006年】遊戯銃協同組合やユーザー団体が要望書を提出
・団体の自主規制値を尊重した内容で銃刀法の改正が成立
→銃刀法でエアガンの威力は6mmBB弾(重さ0.2g)は測定条件下で0.989J未満、8mmBB弾(0.34g)は1.64J未満でなくてはならない。それ以上の威力を持つエアガンは、「準空気銃」とする。
【2007年】規制の施行
・規制値(測定条件下で0.989J)を超えるエアガンは準空気銃とみなされ所持が禁止
→準空気銃に該当する威力の強いエアガンを所持した場合、「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」
エアガンに関する法的規制
日本ではエアガンのジュール数に制限があり、一定以上の威力を持つものは準空気銃として銃刀法により所持が禁止されています。
【準空気銃の所持の禁止】
第二十一条の三:何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、準空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃であって空気銃に該当しないもののうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人を傷害し得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)を所持してはならない。
一 法令に基づき職務のため所持する場合
二 国又は地方公共団体の職員が試験若しくは研究のため、又は公衆の観覧に供するため所持する場合
三 前二号の所持に供するため必要な準空気銃の管理に係る職務を行う国又は地方公共団体の職員が当該準空気銃を当該職務のため所持する場合
四 事業場の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出て前号に規定する者への譲渡しのための準空気銃の製造又は輸出のための準空気銃の製造若しくは輸出を業とする者(使用人を含む。)がその製造又は輸出に係るものを業務のため所持する場合
2 前項第四号の規定による都道府県公安委員会への届出に関し必要な細目は、内閣府令で定める。
規制の変化がもたらす安全性と影響
法的規制により、エアガンの威力や使用方法に厳しい制約が設けられ、これにより事故や怪我の発生は減少しています。
現在では多くのメーカーが法的基準をクリアする製品を開発・販売しており、ユーザーは安心して購入することができます。このように、規制の変化と法的適用はエアガンの安全性向上に大きく貢献しており、今後もその重要性が変わることはないでしょう。
現代エアガンの性能向上と技術の進化
現代のエアガンは技術の進化に伴い、その性能や安全性が格段に向上しています。
現代のエアガンには精密なホップアップシステムが搭載されることが一般的です。ホップアップシステムはBB弾に逆回転をかけることで飛距離を伸ばし、安定した弾道を実現しています。また、モーター性能の進化により、ロックタイム(ここではトリガーを引いてからBB弾が撃ち出されるまでの時間のこととします)の短縮のみならず連射性能も飛躍的に向上しているのです。
このように今では電動、ガス、エアコキとエアガンのパワーソースの選択肢は広がりました。
いずれの構造のエアガンを選んでも、威力が強過ぎるということはまずありえません。
極端な話、現代のサバイバルゲームでは、PSG-10(スナイパーライフル)で狙撃されたがSAA(西部開拓時代のリボルバー)で返り討ちにしたぜ、なんて実銃の世界ではまずありえないことも日常茶飯事です。
それは安全に遊ぶため、拳銃でもライフルでも区別なくパワーの上限が一律で定められているからです。
そこでメーカーは命中精度や継戦能力、ギミック、実銃に近い操作など威力以外の面で切磋琢磨するようになりました。
重さは軽ければ軽いほど、操作は簡単であればあるほど実戦では役に立つのは言うまでもありません。
しかし、ことサバゲーマーという人種に限っては勝ち負けよりもロマンを追い求めることが多いと思います。
河川敷で「相手の弾が届かない距離から一方的に蹂躙する」エアガンが人気だったのは今は昔。
威力以外の魅力を突き詰めていっているのが、令和のエアガンであると思います。
まとめ
本記事では、エアガンの歴史、構造、法的規制の変遷から、現代のエアガンとの比較まで幅広く解説しました。エアガンで遊ぶには、豊富な知識を持って、安全かつ適切な選択を心がけることはとても重要になります。エアガンの安全な取り扱いと適切な選別を行ってください。また、エアガンに関する最新情報にも常に関心を持ち続けましょう。
エアガン業界の技術革新は今後も期待されています。新しい技術や法規制の動向に注目し、安全かつ楽しめるエアガンライフを送りましょう。
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